■ヘムを落とせば出来上がり

 このトレンドに対する業界内部の批判もある。ムスリムを尊守する自称「ファッション・ヴィクティム(ファッションの虜)」である現地のSNSのインフルエンサーの1人は、文化が理解されないうちに商業化されていくことに対して反対の声を上げている。職業的な理由で匿名を条件に「ただ袖をつけて、ヘムを切り落とせばラマダンコレクションの完成だなんて」と軽蔑的に語る。「率直に言って、不快だ」

 だが、今や文化と宗教的な伝統のルーツを持つ衣装は、その枠だけには収まっていないと言う人もいる。アイーシャ・ラマダン氏は「アバヤは伝統、慎み深さを表すものとして始まった」と語る。「デザインの見地からは単なるプレーンな黒のものだけではなくなったし、文化的に見ても宗教だけのものではなくなっている」と彼女は付け足す。「西欧の女性が服装にアバヤを組み込むのは、時間の問題だと思う」(c)AFP/Natacha YAZBECK