【6月26日 AFP】韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-In)大統領が来年開催される平昌冬季五輪での南北合同チームの結成を提案したことに対し、北朝鮮スポーツ界のトップで同国唯一の国際オリンピック委員会(IOC)委員である張雄(チャン・ウン、Chang Ung)氏は、政治的緊張と時間不足を理由に疑念を呈した。

 韓国で開かれている世界テコンドー選手権(World Taekwondo Championships)の開会式に出席した張氏は25日夜、同国ケーブルテレビ「チャンネルA(Channel A)」に対し、平昌冬季五輪の開幕まで7か月しかなく、合意に至るには時間が足りないとの見解を示し「五輪の専門家としての立場から言うと(合同をチーム結成するには)すでに遅すぎる」と述べた。

 かつてバスケットボール北朝鮮代表の主将を務めた張氏は、いわゆるスポーツ外交には何か月もかけた念入りな準備と政治的な調整が必要だと強調した。張氏によると、1991年に日本で行われた世界卓球選手権(World Table Tennis Championships)で南北合同チームを結成した際には、半年にわたって20回以上の打ち合わせがもたれたという。

 また、張氏は、1970年代に米国の卓球チームが中国の招きで訪中し、両国の関係改善のきっかけとなったいわゆる「ピンポン外交」に触れながら、「現在の政治状況が先に解決されなければならない。政治はスポーツより上に位置する」と語った。さらに「政治的な下地がすでにできていたからこそ、卓球を契機に米中の関係改善が成し遂げられた」と述べ、「卓球がすべてを起こしたと世界ではいわれているが、現実は違う」と語った。(c)AFP