【6月25日 AFP】中国南西部の四川(Sichuan)省で24日朝発生した土砂崩れで、これまで15人の遺体が収容された。同日は夜まで救助活動が行われたものの現在も100人以上が行方不明となっており、生存者発見の見通しは厳しくなりつつある。

 当局によると、大雨の影響で24日早朝に山の一部が崩れ、川岸にある新磨(Xinmo)を土砂が襲い、民家62戸が大量の岩と泥の下に埋まった。救助隊はこれまでに夫婦と生後1か月の乳児の生存者3人を発見した。

 救助された男性は搬送先の病院のベッドから国営中国中央テレビ(CCTV)に対し、午前5時(日本時間同6時)すぎに泣き出した息子のおむつを替えようとしたところ、後ろから大きな音が聞こえたと語った。

「家が揺れ、岩が何個も居間に入ってきました。妻と私はその上に上り、息子を連れて外に出ました。私は浅い傷を受けただけで大丈夫ですが、気持ちの面ではかなりつらいです。何十世帯もあった村全体が破壊されてしまいました」

 国営新華社(Xinhua)通信の報道によると、救助隊は24日夜までに15人の遺体を発見したと報告した。同州茂(Mao)県政府は先に、6人が死亡、112人が行方不明になっていると発表していた。新華社は120人以上が行方不明となっており、現地では土砂崩れにより川が2キロ、道路が1.6キロにわたり埋まったと報じている。

 警察と軍、民間から約2000人が出て救助活動に当たっている。しかし上空から撮影した写真では灰色の岩が一帯に広がるばかりで、川沿いに存在した村は跡形もない状態だという。新華社によると、土砂崩れ現場の近くの住民100人以上が24日夜に避難を始めた。

 救助活動を率いる現地当局者によると、24日の土砂崩れは「四川大地震以降発生した最大のもの」という。2008年、同州の町で発生した四川大地震では約8万7000人が死亡した。

 現地の警察官はCCTVに対し、数日間降り続いた強い雨で土砂崩れが起きたと話し、ここは地震が多い地域で木もあまり生えていないと述べた。木は雨水を吸収し土砂崩れを防ぐ働きがある。

 地元の気象観測所長はCCTVに、この地域の山は四川大地震で弱くなっており、比較的少ない雨量でも土砂災害が起きる恐れがあると指摘した。中国の気象当局は、四川省の一部と中国南西部の幾つかの省ではさらに強い雨が降る恐れがあると予報している。(c)AFP/Ludovic EHRET