■イスラムの非政治化

「このモスクではイスラム教徒が自分に新しい定義を与えることができる」と、創設メンバーの1人、ドイツ人のイスラム学者アブデル・ハキム・ウルギ(Abdel-Hakim Ourghi)氏は述べる。そして、イスラム教は対立する政治運動によって引き裂かれてきたが「私たちはイスラムを非政治化したい。宗教は個人的な事柄だから」と続けた。

 脅迫や侮辱などは今のところない。しかし、このモスクを歓迎しない人たちがいることは認識しているという。建物外の入り口付近には警備のため警官が立っている。

 国内に約400万人のイスラム教徒を抱えるドイツは、イスラム過激派の標的ともなってきた。昨年12月にはベルリンで開かれていたクリスマス市にトラックが突っ込み、12人が死亡する襲撃事件があった。2015年以降、ドイツには主にイスラム諸国からの難民100万人以上がたどり着いており、一部の地元住民はこれを懸念している。

 新しいモスクは、多くの移民が暮らすベルリンのモアビット(Moabit)地区に位置し、個人的な寄付によって運営されている。同じ地区にはクリスマス市を襲撃した実行犯の1人、チュニジア人のアニス・アムリ(Anis Amri)容疑者(24)が通っていた過激主義のモスクがあったが、事件以降にここは閉鎖されている。(c)AFP/Yannick PASQUET