【6月22日 AFP】米国で放映されているドキュメンタリーに登場したロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が、アフガニスタンでの米軍による攻撃を捉えた映像をロシアによるシリアへの空爆を捉えたものと勘違いしていたと報じられたことについて、ロシア大統領府(クレムリン、Kremlin)は21日、報道を否定する見解を示して反論した。

 米映画監督オリバー・ストーン(Oliver Stone)氏が手掛け、同国で現在放映されているドキュメンタリーシリーズでは、プーチン大統領がクレムリンで、スマートフォンを使って動画を披露。同大統領はこの映像について、ロシア軍によるシリアの「国際的な無法者ども」に対する空爆と説明し、軍事作戦について詳細を語った。

 ところが、ロシア語ニュースサイト「Meduza」によると、この映像は2009年に米軍がアフガニスタンで実施した同国の旧支配勢力タリバン(Taliban)に対する空爆を撮影したもので、米軍関係者および退役軍人ら向けのウェブサイト「Military.com」に投稿されたものだったという。

 一方、ドミトリー・ぺスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は、この動画が内容を誤認しているとの報道を否定。報道陣に対し「私はこれが実際に国防省の資料だと確かめることができる。国防相がこれを大統領に提出したのだ」と述べ、ペスコフ報道官は、映像を取り違えているとする報道は「間違っており不適切」と述べた。

 だが、ロシアの調査サイト「コンフリクト・インテリジェンス・チーム(Conflict Intelligence Team)」は、米国の映像と、ドキュメンタリーの中でプーチン氏が披露した映像を比較する動画を投稿。両者は同一のものにも見える。

 またジャーナリストらは、プーチン大統領に提出された映像が、国防省のものではなく、ユーチューブ(YouTube)に投稿され、7万5000回以上閲覧されたロシア語の動画だったのではないかと推測している。

 この映像では動画がシリアで撮影されたものと説明され、ロシア語の吹き替えが付けられている。しかしニュースサイト「RBK」に軍事専門家が語ったところによると、この動画に実際に映っているのはアフガニスタンに配備されているアパッチ(Apache)攻撃ヘリコプターだと指摘している。

 アップル(Apple)製品のファンとして知られるドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)首相とは対照的に、軍の最高司令官であるプーチン大統領が公にスマートフォンを使う様子を見せるのは非常に珍しい。

 ペスコフ報道官は、スマートフォンが職員の私物であることを認めたが、それ以上の詳細は明かさなかった。(c)AFP