【6月22日 AFP】男子テニスの元名選手、ボリス・ベッカー(Boris Becker)氏が21日、長年滞納していた「多額」の借金を返済できていないとして、英ロンドン(London)の裁判所で破産宣告を受け、「驚かされたと同時に失望した」と語った。

 ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)通算3度の優勝を誇るベッカー氏の弁護士は、同氏が2015年から抱えている借金を返済する「最後の機会」を持てるよう、破産裁判所の登録官に訴えていた。

 しかし、ウィンブルドンのセンターコートでベッカー氏がプレーする姿を見たことがあると明かした登録官は、延滞分がすぐに支払われるという確固たる証拠に欠けるとの裁定を下し、審理の延期を拒否した。

 現在49歳のベッカー氏は、英プライベートバンクのアーバスノット・レイサム (Arbuthnot Latham & Co)が、四大大会(グランドスラム)通算6勝を誇る同氏が抱えている判決債務に関連して破産申請を行ったことについて、ツイッター(Twitter)に「アーバスノット・レイサムが私に対してこれらの手続きをする選択をしたことに、驚かされたと同時に失望した」と投稿した。

「この命令は係争中となっている1件の債務に関連するもので、それは1か月以内に完済するはずだった!私が要請した審理の延期が拒否されたことに失望している。私の収入は広く公表されており、借金を支払うつもりだったことは明らかだ」

 ベッカー氏の弁護士は、同氏がスペイン・マヨルカ(Mallorca)島に所持している600万ユーロ(約7億5000万円)に上るとみられる不動産を再び抵当に入れるなどの借り換えを通して、借金を弁済することが可能だったとする十分な証拠があると登録官に反論。約1か月以内にスペインの銀行から取引の承認を得る予定だったと話しており、破産による利益はなく、同氏の「イメージ」を損なう可能性があると訴えた。

 しかし、登録官は「彼はもっと前からそれを考えておくべきだった。きちんと稼いでいる人間が、2015年10月から判決債務を滞納しているのはほとんどあり得ない。これは積もり積もった借金だ。彼は現実から目をそらしている人物だという印象を受ける」と述べた。

 元世界ランク1位で通算12度のグランドスラム制覇を誇るノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)のコーチを3年間務め、そのうち6個のメジャータイトル獲得に貢献したベッカー氏は、昨年12月に同選手との師弟関係を解消していた。(c)AFP