【6月22日 AFP】一部メディアから「ゾンビ政府」と揶揄(やゆ)されている政権を率いる英国のテリーザ・メイ(Theresa May)首相は21日、与党・保守党の過半数割れに終わった選挙後初の議会で、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)に向けた大規模な法案を含む施策方針を発表した。

 エリザベス女王(Queen Elizabeth II)の演説によって開会された議会だが、ここ最近の英国は悲劇的な事件に次々と見舞われ、今月8日の総選挙では、メイ首相率いる保守党が過半数割れとなる敗北を喫したばかり。

 議会開始に際してエリザベス女王が読み上げた法案については議会で議論され、29日に採決が行われる。EU離脱に向け、極めて高度な慎重さを要する協議はこれから本格化するが、法案が否決された場合、メイ首相が辞任に追い込まれる可能性もある。

 演説で発表されたEU離脱関連の法案は8つ。この他、過激派勢力による一連の攻撃を受け、オンライン上の過激派のコンテンツに対処する新法案も発表された。

 一方で、この演説で触れられなかった問題も注目を集めた。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領に対してメイ首相が国賓として招待する意向を表明したことで物議を醸していたが、この問題については言及されなかった。

 また、保守党がマニフェスト(政権公約)で掲げていた柱でありながら、有権者に不評だったと専門家らに指摘されている高齢者の社会保障や学校の補助制度の改革などについても触れられていない。

 英紙タイムズ(The Times)はメイ政権を「ゾンビ政府の抜け殻」と例え、今やメイ首相は「力を失い、閣僚同士の内輪もめも仲裁できずにいる」と評している。(c)AFP/Dario THUBURN