【6月20日 AFP】実業家の前澤友作氏(Yusaku Maezawa)は、米国人美術作家ジャンミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)の傑作を1億1050万ドル(約123億円)で落札したことをインスタグラム(Instagram)の投稿で発表した。この投稿で前澤氏は、オークションの歴史だけでなく、日本のアートにおいても新しい時代の幕開けを示した。

 バスキア作品の過去最高額での落札は、80年代の日本を思い出させる。当時、企業が資産買入として、海外の土地やビジネスのほかに、印象派の絵画に大盤振る舞いした。しかし億万長者の前澤氏は、その並外れた資産にもかかわらず「僕は一コレクターに過ぎない」と主張する。今回の落札は、自身の愛と本能に駆りたてられたもので、美術アドバイザーからの指図からではないという。「美しいと思ったから買う、それだけです。名作と呼ばれるものの歴史やストーリーも作品の一部として楽しんでいますが、名作を所有すること自体は購入の目的にはなりません」とAFPの取材に答えた。

 今回落札したのはキャンバスにオイルスティックとアクリル、スプレーペイントを使用し、頭蓋骨を思わせるイメージを描いた、ジャンミシェル・バスキアの1982年の無題作品。前澤氏はこれを隠しておくのではなく、世界中のギャラリーに貸し出す予定だ。ニューヨークで開催されたオークションのあと、「この作品が僕に喜びを与えたのと同じように、人々にも喜びをもたらしてほしい。また21歳のバスキアが手がけたこの傑作が、若い世代をインスパイアしてくれたら」と語った。