【6月16日 AFP】ファッションデザイナーたちの卓越した技術とグローバル化の恩恵により、フランスの高級ブランドは新たな仕事を再び生み出している。全国的に高い失業率がもたらす暗雲をもろともせず、だ。

 高級品への世界的な欲求の高まりのおかげで、「エルメス(HERMÈS)」や「シャネル(CHANEL)」などのブランドはフランスを中心に何千もの技術スタッフを雇用し、350万人に及ぶ失業者を減少させることにも貢献している。バーキンで知られるフランスのラグジュアリーブランド「エルメス」は、アジアを中心とした海外で高まる需要に応えるため、2つのレザー工房を新設。220人の雇用を生み出した。

 そのほか「シャネル」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「サンローラン(Saint Laurent)」といったフランスのメゾンもレディ・トゥ・ウェア、アクセサリーおよび香水において世界的なブランドとなった。売り上げの上昇、とくに中国人消費者たちの高級品への欲求を満足させるため、製造工業は雇用者を増やしている。世界銀行(World Bank)のデータによると、フランスにおける総体的な製造部門の少なさに反して、経済的な生産高の取り分は過去半世紀分の約11%にあたる。

「エルメス」が新設した仏サンジュニアン(Saint-Junien)にある工房では数十人もの職人がレザーを加工し、手袋や財布ほか、小さな商品を作り上げている。この設備では、機械を用いてオートメーション化した作業はない。作業は手で行われ、すべてのパーツには技術者の名前が刻まれる。

「このような現場を作ることは他の国では考えられない」と、「エルメス」の製造を担うエグゼクティブ・バイスプレジデントのギョーム・ドゥ・セーヌ(Guillaume de Seynes)は語る。「品質とブランドイメージのために、あえてこのような作業方法にしている。『メイド・イン・フランス』とは顧客にとって、フランスの製造技術を意味する」とし、その作業方法は何世代にも渡って引き継がれている。