■ラグジュアリーはパワーシンボル?

 ラグジュアリー部門の成長はこのような形でも表れている。LVMHは今年、エネルギー事業の「トタル(Total)」や医薬品メーカーの「サノフィ(Sanofi)」も押しのけて、パリの株式取引において、時価総額でもっとも大きな会社となった。

「ラグジュアリーがフランスの経済において著しい重みを持つという、パワフルなシンボルだ」とボストンコンサルティンググループ(Boston Consulting Group)のグローバルラグジュアリー部門を率いるオリヴィエ・アブタン(Olivier Abtan)は語る。フランスのラグジュアリー会社はそのイメージを汚すことなく、高級感とクリエイティビティを保持することに成功している。さらにそこで生まれた新しい職は、今後も存続する見込みがあるとアブタンは考える。「これらの商品が並外れているのは、ハンドメイドだという点。職人技術は、ロボットに取って代われるものではない強い要素だ」

 しかしフランスはレザーとジュエリーにおける先導者であり続けている一方で、シューズの製造技術とレディ・トゥ・ウェアではイタリアに負けている。それはフランスの会社にとって真の挑戦となるとアブタンは付け加えた。

 さらにラグジュアリー効果は電化製品部門にまで届いている。「サーモミックス」のフードプロセッサーで知られるドイツの「フォアベルク(Vorwerk)」は、上昇する売り上げを維持するために、過去数年間で1億ユーロ(123億9300万円)をフランス中央にある自社工場に投資し、100の雇用を生み出した。(c)AFP/ Daniel ARONSSOHN