■グローバリゼーションこそ、歴史的チャンス

「グローバリゼーションはラグジュアリー部門において、仕事を生み出し、国を豊かにする歴史的なチャンスと言える」と創業者、ティエリー・エルメス(Thierry Hermes)の子孫であるセーヌは語る。商品の85%をフランス本国で生産し、その86%を輸出する「エルメス」は、過去5年間で2,400もの新しい雇用をフランスで生み出した。

「エルメス」だけではない。「サンローラン」や「グッチ(GUCCI)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」などを傘下に持ち、パリを拠点とする世界第2のラグジュアリーグループ「ケリング(KERING)」もかさ上げをした。過去3年の間にラグジュアリー部門の従業員は13%も増加。2013年にはノルマンディー(Normandy)を拠点とする、なめし革工場「フランスクロコ(France Croco)」を獲得した。同社はワニ革の専門業者で、フランスとイタリアのトップメゾンに素材を供給している。従業員数は2020年までに、45人から160人まで増えると予測される。

 一方、高級ブランドグループの「モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(Moet Hennessy Louis VuittonLVMH)」も上昇し続ける売り上げに合わせて1,000もの職を昨年追加した。同社は「ディオール(Dior)」「ルイ・ヴィトン」「ゲラン(GUERLAIN)」「ジバンシィ(Givenchy)」、そしてシャンパンの「モエ・エ・シャンドン(MOËT & CHANDON)」やコニャックの「ヘネシー」を含む70ブランドを傘下に持つ。売り上げは今年400億ユーロ(約495兆5515億9200万円)に達した。

 同社の人事部部長であるシャンタル・ガンペルレ(Chantal Gaemperle)は「傾向を比較すると2017年はさらに少し上昇している」と語る。雇用は「技術者から経営者まで、すべての職業、すべての階層にいたる」と言い、内93%もの契約は終身雇用だという。