【6月16日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は15日、国民からの質問に答える毎年恒例のテレビ番組に出演した。最近2人目の孫ができたことを明かしたほか、解任されたジェームズ・コミー(James Comey)前米連邦捜査局(FBI)長官について、ロシアへの政治亡命を認める用意があると冗談も飛ばした。

 プーチン大統領は、米映画監督オリバー・ストーン(Oliver Stone)氏が制作したドキュメンタリー映画の中で複数の孫の存在に触れている。この映画は米国で今月から上映が始まったが、ロシアでは未公開となっている。

 プーチン氏が番組で最近2人目の孫(男の子)が生まれたと述べると、スタジオから拍手が巻き起こった。1人目はすでに幼稚園に通っているという。

「とにかく、彼らには世襲の王子のように育ってほしくない。普通の人になってもらいたいんだ」とも打ち明けた。名前や年齢を明かすと特定されてしまうとして理解を求めた。

 ロシア疑惑の捜査を指揮していたコミー氏にも言及。米政府の大規模な情報収集活動を暴露した元米国家安全保障局(NSA)職員エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者と同様に、ロシアへの政治亡命を認める用意があると冗談めかして語った。

「彼(コミー氏)が虐げられるようなことがあれば、ロシアへの政治亡命を認める用意がある。彼もこのことは知っておいてよいだろう」

 とはいえ、4時間にわたる特別番組の最後に報道陣から厳しい質問を投げかけられると、プーチン氏もいら立ちを隠しきれない様子だった。英BBCの記者に対しては、BBCは拘留中の野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏を支持しているとして怒りをあらわにした。

 来年の大統領選に出馬して4選を目指すかについても回答を拒否した。

 昨年の大統領選に干渉したとして、米議会上院がロシアに新たな制裁を科す法案を圧倒的多数の賛成で可決したことについては、「ロシアの封じ込め」をもくろむものだと非難した。

 プーチン氏は「米国はわが国の敵ではない」としながらも、ロシアはその全歴史を通じて、「油断ならない競争相手」としてロシアを恐れるパートナー諸国の制裁に直面してきたと訴えた。(c)AFP