【6月13日 AFP】昨年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2016)で一躍時の人となったマーカス・ウィリス(Marcus Willis、英国)が12日、英通信社プレス・アソシエーション(Press AssociationPA)に対し、今年の同大会ではワイルドカード(主催者推薦)が与えられることを祈っていると明かした。

 現在26歳のウィリスは、当時世界772位の選手ながらウィンブルドンの予選を突破し、本戦ではセンターコートで行われたロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)との2回戦まで進出した。

 テニスを続けていく上での支えとなり、おとぎ話の立役者となった恋人のジェニー(Jenny)さんとその後結婚したウィリスは、フェデラーにストレートで敗れたものの、大会を存分に楽しんだと振り返った。

 ウィリスは思いもよらなかったセンターコートでの試合について、「コートにいたのは5分間くらいのように感じた。楽しんでいるときやこてんぱんにやられているときは時間の経過が早い。考えれば考えるほどクレージーなことだとわかる」と語った。

 ジェニーさんとの間に娘マーサ(Martha)ちゃんが誕生したウィリスは、ウィンブルドンの主催者が今月20日にワイルドカードを発表する際に、前回大会で自分がメディアの注目を集めたことを思い出してほしいと話した。

「確信はないけど、そう願っている。かなったら本当に有り難いことだ。昨年すごく話題になったことでメディアの注目も大きいだろうから、自分に一つ与えてもらえるかもしれない。自分でも数試合は勝てると真剣に思っているんだ。最高の記憶がよみがえってくるだろうね。もしだめでも、また予選から挑戦していくよ」

 前回大会では、棄権者が1人出なければ予備予選出場のチャンスすらなかったウィリスは、実際に予選まで進出したときも大きな期待は持っていなかったという。しかし、ワイルドカードで出場した予選では、杉田祐一(Yuichi Sugita)、アンドレイ・ルブレフ(Andrey Rublev、ロシア)、ダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev、ロシア)と世界ランキングで自分のはるか上を行く選手をなぎ倒し、本大会出場の資格を獲得した。

 結婚式が英雑誌ハロー(Hello!)で取り上げられるなど思わぬ経験もしたウィリスは、「芝でボールを打ったことなんてなかったから、何も期待していなかった。予備予選ではいけると思っていたけど、厳しいドローだったから、突破できたことは本当に上出来だった。毎試合がボーナスみたいなもので、最高だった」と振り返った。

「予選も最後まで勝ち抜けるとは思っていなかった。恐ろしいドローだったから、勝つたびにうれしい驚きだった。予選を突破してコートの外へ出たら、マイクを持った人が200人くらいいて、そのとき実感したんだ。『ああ、自分はここで何かを成し遂げたんだ』とね。それからは、とにかくめまぐるしかった」 (c)AFP