【6月12日 AFP】台湾の議員らが12日、香港(Hong Kong)の民主化を支援する新たな団体を立ち上げた。英国から中国への香港返還20周年を前に中国政府をいら立たせる動きとなりそうだ。

 2014年には台湾で「ひまわり学生運動(Sunflower Movement)」、香港で「雨傘運動(Umbrella Movement)」と、どちらも大規模な反中抗議運動が起きている。

 中台関係は、中国に懐疑的な蔡英文(Tsai Ing-wen)氏が昨年、総統に就任して以来、悪化の一途をたどっている。中国政府は現在も台湾を自国領土の一部とみなしており、蔡総統に「一つの中国」原則を認めさせたがっているが、蔡氏は拒絶している。

 一方、半自治権を有している香港では中国政府に対し、政治改革の欠如への不満や、自由が脅かされているとの懸念から、自治や独立をも求める団体が登場し、中国政府を激怒させている。

 台湾の議員18人から成る新団体「台湾国会関注香港民主連線(Taiwan Congressional Hong Kong Caucus)」は、香港の民主化支援を掲げている。

 ひまわり学生運動のリーダー格の一人で現在は政党「時代力量(New Power Party)」の党首を務める黄国昌(Huang Kuo-chang)氏ら同党の議員5人と、与党・民主進歩党(DPP)の議員らがメンバーとなっており、運動家や政治家の意見交換や政策に関する議論の促進に努めるとしている。

 発足式には、香港の雨傘運動の学生リーダーだった黄之鋒(ジョシュア・ウォン、Joshua Wong)氏や羅冠聡(ネイサン・ロー、Nathan Law)氏も出席した。羅氏は台湾を「同盟」相手と呼び、黄氏は「抑圧と対峙(たいじ)している我々はさらに団結し、経験をもっと共有する必要がある」と述べた。

 7月1日の返還20周年を前に香港の世論は、さらなる民主化を要求する人々と親中派との間で二分されている。羅氏は今年1月、香港の空港で台湾からへ帰還した際に親中派のデモの参加者に襲撃されたことがある。一方、台湾の黄国昌氏らひまわり学生運動のリーダー格数人は14年以降、香港への渡航を禁止されている。(c)AFP