■フリーキーであり続ける

 抗レトロウイルス薬によって、HIVの活動は抑えられるようになった。キューバの隔離診療所は1994年に閉鎖された。だが、ゴベアさんと車いすに乗った妻は今もキューバ島(本島)西部ピナルデルリオ(Pinar del Rio)にある、かつて療養所だった建物に住んでいる。2人が2000年に出会ったのもここだ。生計は国からの少額の手当と、マニキュア製品を売って立てている。

 時間があるときには夫婦そろって近所に出かけ、若いロッカーたちと歌ったり、頭を激しく振って踊ったりして「フリーキー」に楽しんでいる。家はセックス・ピストルズ(Sex Pistols)やラモーンズ(The Ramones)といったパンクバンドのポスターで埋め尽くされている。

 この場所に住み続けることをキューバ政府は認めており、医薬品も無料で与えられている。療養所勤務に関する著作のあるペレス医師は「彼らは療養所の中の方がうまく生きていた。そして、出ていくことを恐れていた」と話した。(c)AFP/Héctor Velasco