【6月7日 AFP】カナダのクリスティア・フリーランド(Chrystia Freeland)外相は6日、自立した外交に向けて国防費を大幅に積み増し、世界のリーダーとしての責務を負うことに消極的な米国への依存を低下させる方針を明らかにした。カナダの外交政策の大きな転換を示すものだ。

 フリーランド外相は議会で行った演説で「過去70年にわたり不変と思われてきた国際関係に疑問が投げかけられている」と指摘。カナダが世界でこれまでよりも大きな責務を担っていく姿勢を打ち出した。

 その上で、外交や国外での開発事業を支援するため、自国の軍事力を「ハード面」で強化する必要があると強調した。国防政策の詳細は7日に発表される予定。

 フリーランド外相は演説後、記者団に「2本の足で自立するということだ。われわれの安全を保証し、われわれの価値観を広めるために世界で何を成し遂げる必要があるか、独立した主権国家として示す外交政策を持つことになる」と説明した。

 カナダは米国の最も密接な同盟国の一つ。ジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は自身のリベラルな世界観をドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領に説いてきたが、ほとんど成功していない。

 現在、カナダの国防費は国内総生産(GDP)の1%未満で、米国が北大西洋条約機構(NATO)の加盟国に求めている2%を下回っている。

 米国との外交関係をめぐっては、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が先月、米国は同盟国として頼りにできないと発言。また、カナダ人女性を含む7人が犠牲となったロンドン(London)中心部での襲撃事件に関して、トランプ氏がサディク・カーン(Sadiq Khan)市長をツイッター(Twitter)で批判し、これに市長側が反発する事態にもなっている。

 フリーランド外相は「北朝鮮の独裁政権、シリアでの人道に対する罪、ダーイシュ(Daesh、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」のアラビア語名の略称)の恐ろしい過激主義者、ロシアによる軍事的な冒険主義や拡張主義、これらすべてがカナダを含む自由で民主的な国々の戦略的脅威となっているのは明らかだ」とも語った。(c)AFP