■政党によるフェイスブック広告活用数が激増

 とはいえ当局も徐々に後れを取り戻し始めている。個人情報の保護促進を目指す公的機関、情報コミッショナー事務局(ICO)は先月、データ分析の政治利用をめぐる公式調査に着手した。

 ICOは声明で、「これらのツールは、個人のプライバシーに大きな影響を及ぼしかねない」と懸念を示した上で、インターネットで個人情報がどのように収集されているかについての一般認識は概して低いと指摘。「こうした技術の利用に関する透明性を強化し高めていくことが重要だ」と述べている。

 これに対しフェイスブックは、英総選挙に向けた自社の広告営業戦略に関するコメントは差し控える一方で、保守・労働両党の元幹部を採用しているという報道については事実と認めている。

 フー・ターゲッツ・ミー?が収集したデータの大半は選挙が終わってから、ロンドン大学経済政治学院(LSE)と同市を拠点とする非営利団体「調査報道局(BIJ)」の協力の下で徹底分析される予定だ。

 だがナイトウェブ氏は、既に明らかになっている傾向が1つあると明かしている。それはフェイスブックの広告活用が、前回2015年の総選挙に比べて大幅に拡大しているという点だ。

 2年前の選挙戦では、保守党はフェイスブック広告に120万ポンド(現レートで約1億7000万円)を拠出したものの、労働党は1万6500ポンド(同約240万円)で、他の全党を合計しても20万ポンド(同約2900万円)にとどまった。

 ナイトウェブ氏は、「今ではすべての党がデータ分析の潜在能力を認識しており、今年はさらに多額の資金を投入している」と話している。(c)AFP/Dario THUBURN