【6月5日 AFP】五輪史上最も輝かしい成績を誇る米国の元競泳選手、マイケル・フェルプス(Michael Phelps)氏が5日、うつ病や薬物乱用など自身の経験から身近な存在となったメンタルヘルス(精神衛生)関連企業の役員に就任した。

 五輪で合計28個のメダルを獲得し、昨年現役を引退したフェルプス氏は、メディバイオ(Medibio)社に加わった理由として、精神衛生問題への関心を高めるという自身の目的に合致すると説明し、「個人的には10代の頃から精神的な問題を抱えていた。ごく最近もうつ病に陥り、それに対する理解や治療、そして必要な支援を得られたことで、本当に人生が変わった。精神衛生上の観点から自己認識することで、自分にとっては力となった」と明かした。

 メディバイオ社は体内時計や睡眠、そして血圧などの情報を利用してうつ病をはじめ、慢性ストレスやそのほかの疾患を診断するための検査方法を開発している。

 9歳のときに注意欠如・多動性障害(ADHD)であると診断されたというフェルプス氏は、すでに児童心理協会(Child Mind Institute)の交流サイト(SNS)でアンバサダーを務め、心の問題や学習障害に関連した症状を止める活動の手助けをしている。

 水泳の元名選手で精神的な問題を抱えているのはフェルプス氏だけではない。オーストラリアのイアン・ソープ(Ian Thorpe)氏もうつ病に悩まされており、2014年にシドニー(Sydney)の通りを放心状態で徘徊(はいかい)していたところを発見されて治療を受けている。

 同じオーストラリア勢のグラント・ハケット(Grant Hackett)氏はこれまでにいくつもの事件を起こしているが、今年に入ってからも家族と騒動を起こして逮捕され、フェルプス氏を含めた支援を模索している。

 フェルプス氏はメディバイオ社が発表した声明で、「問題を抱えるこ人たちが行動しやすくなると同時に、もっと理解されるプロセスを構築する手助けをしていきたい」と述べた。(c)AFP