【6月5日 AFP】(更新)サウジアラビアとエジプト、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)は5日、カタールとの国交を断絶すると発表した。湾岸(Gulf)諸国間では、カタールがテロリズムに資金援助しているとの非難をめぐって緊張が高まっていた。

 国営サウジ通信(SPA)によると、サウジアラビア政府は「テロリズムと過激主義の危険から国の治安を守る」ため、カタールとの外交関係を断ち国境を閉鎖する。陸・海・空の全ての玄関口も閉ざすという。

 エジプト外務省は、カタール政府が「テロリズムを支援している」と批判。エジプト国内の港湾と空港へのカタール国籍の船や航空機のアクセスを拒否する方針を明らかにした。

 また、バーレーン通信(BNA)は、カタール政府が「バーレーンの治安と安定を揺るがし、内政干渉を行う」と主張したため国交を断絶したと報じている。

 イエメンの内戦に介入しているサウジアラビア主導の連合軍も5日、カタールの参加を今後は認めないと発表した。SPAが伝えた連合軍の声明は、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)やイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」にも言及。カタールが「テロリズムを増強し、イエメン国内のアルカイダやダーイシュ(ISのアラビア語名の略称)をはじめとする(テロ)組織を支援し、反体制派と取引している」ことを今回の措置の理由としている。

 その一方、今回の決定についてカタール政府は「不当だ」と非難し、同国を政治的な「保護下」に置くことが目的だとの見解を示した。

 カタール外務省は声明で、中東4か国による前例のない措置について「不当で、根拠のない誤った主張に基づいている」と批判。「目的は明らかで、この国を保護下に置こうとするものだ。これは、それ自体で(カタールの)国家としての主権を侵害するものだ」と述べた。

 またカタール政府は、湾岸諸国3か国が同国を結ぶ空路、陸路、海路での交通を遮断することについて、「市民および住民の日常生活に影響を及ぼすことはない」と主張。「カタールの社会や経済に危害を加える試みを失敗させるべく、政府は必要な措置全てを取る」と述べた。

■カタールは22年W杯開催国、米軍の中東拠点も

 カタール政府に対しては、かねてテロ支援国家との批判がある。

 カタールの首都ドーハ(Doha)では、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)のハレド・メシャール(Khaled Meshaal)前最高指導者が数年にわたって亡命生活を送っている。また、アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)も2013年、ドーハに事務所を開設して物議を醸した。

 カタールは2022年のサッカーW杯(2022 World Cup)の開催国に予定されているほか、米国が主導するIS掃討作戦を実行している有志連合の参加国でもある。米軍が中東地域での空からの全作戦を指揮するアルウデイド(Al-Udeid)空軍基地もカタール国内にある。(c)AFP