【6月9日 AFP】著名な親を持つことには、良い面も悪い面もある。しかしオーストリアの音楽家フランツ・クサーヴァー・ウォルフガング・モーツァルト(Franz Xaver Wolfgang Mozart)にとっては他の誰よりも大変なことだった。

 フランツ・クサーヴァーは1791年、天才作曲家の父親ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart)が死去する数か月前に生まれ、生涯にわたって父親の影から抜け出そうともがき続けた。

 母親のコンスタンツェ(Constanze Mozart)は1801年、当時9歳だったフランツ・クサーヴァーに宛てて「両親を失望させる子は不名誉と苦痛に直面することになります。この言葉を私の愛する息子への警告とします」と書いている。

 この不吉ともいえる手紙は、モーツァルト作品の研究などを行う国際モーツァルテウム財団(International Mozarteum Foundation)が主催する展覧会の一環として、オーストリア北部ザルツブルク(Salzburg)の「モーツアルトの住居(Mozart Residence)」で現在展示されている数多くの私信の中の一通だ。

 フランツ・クサーヴァーが1844年に死去するとモーツァルトの血筋は途絶え、数多くのモーツァルト家の文書が同財団に寄贈された。