【6月2日 AFP】地球温暖化の影響が拡大する南極のラーセンC(Larsen C)棚氷から、米デラウエア(Delaware)州の面積に匹敵する約5000平方キロメートルもの巨大な氷塊が分離する目前だと、科学者らが1日に発表した。過去最大級の氷山になるという。

 ラーセンCにできた亀裂を観測している研究者らが所属する英ウェールズ(Wales)のスウォンジー大学(Swansea University)は、衛星データをもとに「ラーセンCの亀裂から、過去最大級の氷山ができそうだ」との声明を発表した。

 厚さ約350メートルの棚氷に走った亀裂は6日間で17キロ広がり、南極大陸を覆う氷床につながる部分はわずか13キロまで減少した。「分離のときは恐らく非常に近い」とスウォンジー大の声明は述べている。

 ラーセンCは南極最北かつ最大の棚氷だが、亀裂ができた部分の氷塊が分離すると全体の10%が失われ、面積は記録上で最小となる。既に大陸から海にせり出した部分なため、分離しても海面上昇にはつながらないが、残った棚氷が不安定化し崩壊しやすくなる恐れがある。その結果、内陸部の氷河が海へ流出すれば、地球全体の海面が約10センチ上昇すると予測されている。

 棚氷の崩壊は自然現象だが、科学的に証明されてはいないものの近年の地球温暖化により崩壊の進行が加速していると考えられている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux