【6月2日 AFP】(更新、写真追加)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」からの離脱を表明したことに対し、世界中から批判の声が上がった。

 欧州の経済大国であるドイツ、フランス、イタリアの3か国は共同声明を発表し、「米国の決定を遺憾に思う」としてトランプ氏の離脱決定を批判。さらに、パリ協定は「私たちの地球と社会、経済にとって不可欠なものである」とし、トランプ氏が求める再交渉には応じない意向を示した。

 欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長はトランプ氏の決定を「深刻な誤り」だと非難。同委員会のミゲル・アリアスカニェテ(Miguel Arias Canete)委員(気候行動・エネルギー担当)は、気候変動対策において欧州が「国際的な指導力」を発揮し続けていくと誓った。

 ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は「遺憾」を表明し、「私たちの世界を守る」気候変動対策を継続していく必要があると訴えた。

 フランス大統領府によれば、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領はトランプ氏に電話を掛け、パリ協定で「再交渉できるものはない」と伝えたという。

 マクロン大統領はテレビ演説も行い、トランプ氏は「自国と私たちの地球にとって間違いを犯した」と批判。トランプ氏の選挙スローガン「米国を再び偉大にする」をもじって「地球を再び偉大にする」と呼び掛けた。

 カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相もトランプ氏に電話し、「失望している」と直接伝えた。キャサリン・マッケナ(Catherine McKenna)環境・気候変動相は、同国で9月にEU、中国と気候変動対策に関する会合を開催すると発表した。

 環境NGO「気候行動ネットワーク(Climate Action Network)」は、米国の離脱は「トランプ政権が現実と国際社会の両方と完全に対立していることの表れだ」と非難した。(c)AFP