【6月1日 AFP】フランスの首都パリ(Paris)のシャンゼリゼ(Champs Elysees)通りで4月に起きた銃撃事件で死亡した男性同性愛者の警官が、パートナーの男性と死後結婚した。仏大衆紙パリジャン(Le Parisien)が5月31日、伝えた。

 先月30日に行われた故グザビエ・ジュジュレ(Xavier Jugele)さん(当時37)とエティエンヌ・カルディレス(Etienne Cardiles)さんとの結婚式にはフランソワ・オランド(Francois Hollande)前大統領とパリのアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)市長も出席した。

 警察組織の中で同性愛者の権利向上のための運動を行っていたジュジュレさんは、仏大統領選の第1回投票が行われる3日前の4月20日、シャンゼリゼ通りを警備中に撃たれて死亡した。

 4月25日に当時大統領のオランド氏が主催した追悼式典でカルディレスさんは、殺人犯を「憎まない」と述べ、2015年11月に起きたパリ襲撃事件の犠牲者の夫が語った言葉を繰り返して「私は憎しみを持たないよ、グザビエ。それは君らしくないし、君の心を鼓動させていたものにも、君を平和の守り手にしていたものにもふさわしくないから」と語り掛けていた。

 ジュジュレさんは事件後、フランス最高級の勲章であるレジオン・ドヌール勲章(Legion d'Honneur)をオランド氏から死後授与された。

 事件後間もなく、ジュジュレさんが2015年11月13日にパリのコンサートホール「バタクラン(Bataclan)」で起きた銃撃事件で最初に現場に駆け付けた警官の一人だったことが明らかとなった。同ホールではイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の銃撃犯らによって90人が殺害された。

 ジュジュレさんは事件の1年後、英人気ロック歌手スティング(Sting)さんの公演で再開した同コンサートホールを再訪し、英BBCのインタビューに「命をたたえ、テロに『ノー』を言うために来た」と語っていた。(c)AFP