【5月30日 AFP】ドイツのジグマル・ガブリエル(Sigmar Gabriel)外相は29日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の「近視眼的」な政策により「西側が弱体化」し、欧州の利益が損なわれたと述べ、同大統領を激しく非難した。

 ドイツが長らく緊密な同盟関係にある米政府を厳しく非難することは、極めて異例。前日の28日には、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相も、米国と英国はもはや完全に頼りにできるパートナーではないかもしれないと警告していた。

 トランプ氏は自身初の公式外遊として、サウジアラビア、イスラエル、ベルギー歴訪と、イタリアでの先進7か国(G7)首脳会議(サミット)への出席を終えたところ。

 27日閉幕したG7サミットで米国は、2015年に締結された温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」への残留の意向表明を拒んでおり、ドイツはこれを受けて怒りをあらわにしている。

 また、トランプ氏はその数日前、訪問先のサウジアラビアで、米国史上最大の兵器売却合意の調印に立ち会っている。合意は、米側がサウジに対し、今後10年で計1100億ドル(約12兆円)相当の艦船、戦車、ミサイル防衛システムを売却する内容。

 ガブリエル外相は29日、「環境保護を弱めることで気候変動を加速させ、紛争地域に対する武器売却を拡大し、宗教対立を政治的に決着させることを望まない人物は、誰であれ、欧州の平和を危機に陥れている」と非難。「米政府の近視眼的な政策は、欧州連合(EU)の利益に反するものだ」とし、「西側は縮小したか、少なくとも弱体化した」と述べた。(c)AFP/Damien STROKA