【5月30日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は29日、パリ(Paris)郊外のベルサイユ(Versailles)宮殿でロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と初めて会談し、シリアやウクライナなどの問題を協議した。両者は意見の相違を認める一方、両国関係の緊張緩和を約束。マクロン氏は、協議は「極めて率直」に行われたと述べた。

 マクロン氏は、フランスでの複数の襲撃事件で犯行声明を出しているイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に言及し、「われわれの絶対的な最優先事項は、テロとの戦い、そしてダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)をはじめとするテロ集団の根絶だ」と述べた。

 マクロン氏はまたロシアに対し、シリアをめぐる連携強化を呼び掛けた。ロシアはシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権を支援しており、シリア問題は西側諸国とロシアとの関係改善の障害となっている。

 マクロン氏は、シリアにおける化学兵器の使用は自身の政権にとって「レッドライン(越えてはならない一線)」であり、フランスは「即座に反応」するだろうと述べ、アサド大統領とロシアに対する警告とみられる発言も行った。

 会談では、ロシアのウクライナ軍事介入に対する西側諸国の制裁や、ロシアがフランス大統領選挙に干渉したとの疑惑も取り上げられた。

 プーチン氏はウクライナ東部の情勢に関し、政府軍とロシア政府が支援する反政府勢力の戦闘を終結させる上で、制裁は「まったく」役に立っていないと明言。仏選挙介入疑惑についても、根拠がないと一蹴した。

 このほかマクロン氏は、ロシア・チェチェン(Chechnya)共和国で同性愛者が弾圧されているとの疑惑について、プーチン氏が「すべての真実を明らかにする」ことを約束したと述べた。(c)AFP