【5月28日 AFP】イングランドFAカップ(FA Cup 2016-17)は27日、決勝が行われ、アーセナル(Arsenal)は終盤にアーロン・ラムジー(Aaron Ramsey)が決勝点を挙げて、チェルシー(Chelsea)に2-1で勝利。今季苦しんだアーセン・ベンゲル(Arsene Wenger)監督は、史上最多7回目の同杯制覇を果たし、チェルシーはリーグ戦との2冠を逃した。

 今季は終盤にチームのファンからもそっぽを向かれ、20年ぶりに欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)出場を逃したベンゲル監督だが、シーズンの締めくくりにアストン・ビラ(Aston Villa)を率いたジョージ・ラムジー(George Ramsey)氏を上回り、FAカップの最多優勝監督になった。

 ハンドに見えたプレーからアレクシス・サンチェス(Alexis Sanchez)が先制点を挙げたアーセナルに対し、チェルシーはジエゴ・コスタ(Diego da Silva Costa)のゴールで同点に追いついた。しかし、迎えた後半34分、ラムジーが自身2回目となるFAカップの決勝点を奪った。

 ベンゲル監督は「今年のチームは苦しんだが、皆で団結して立ち直った。強さとまとまりを見せ、きょうは見事なサッカーを披露した。このカップを7回獲得できたことを誇りに思う」とコメントしている。

 21年の政権で最も難しいシーズンを過ごしながら、最後にタイトルを獲得したことで、去就が決まるとみられる30日の理事会に向けて、ベンゲル監督は十分な手土産を手に入れている。

 クラブから2年間の契約延長を提示されていると伝えられているベンゲル監督に対し、今季はファンから退任を求める声も強まっていったが、この日の心を揺さぶられる勝利を見て、失望していたファンの信頼もある程度は回復するとみられる。

 ラムジーは英BBCに対して「もちろん監督にはクラブに残ってほしいし、それにふさわしい人物だ」と述べた。

 DFの負傷離脱に悩まされながら、最近4シーズンで3回目のFAカップ制覇を果たしたアーセナルは、通算の優勝回数を13回に伸ばし、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)を上回り大会最多優勝クラブとなった。

 一方、ビクター・モーゼス(Victor Moses)がダイブのシミュレーションを取られて退場処分となり、試合に敗れたチェルシーは、クラブ2度目となるプレミアリーグとFAカップの2冠達成がかなわず、今季限りで退団するジョン・テリー(John Terry)の花道を飾ることもできなかった。

 テリーはチェルシーでの最後の試合をベンチで過ごし、通算717試合に出場し、17個のタイトルを獲得したクラブでのキャリアを終えた。

 チェルシーのアントニオ・コンテ(Antonio Conte)監督は「最初のゴールは、相手の選手が両手でボールを扱っていた」と判定に不満を見せつつ、「最後の結果は残念だったが、素晴らしいシーズンだった」と語った。(c)AFP/Tom WILLIAMS