【5月26日 AFP】5月中旬、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が司法妨害を行ったとして非難される重大な事態が起き、米政界は大きな政治的混乱に見舞われた。

 ホワイトハウス(White House)はダメージ・コントロールに奔走し、批評家らは勢い立ち、野党・民主党の一部は第45代大統領の「弾劾」の可能性をちらつかせ始めた。とはいえ、弾劾手続きの開始はまだ仮想段階だ。

 トランプ大統領に向けられている疑いは、米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー(James Comey)前長官に対し、昨年の米大統領選期間中のトランプ陣営とロシアとの通謀疑惑に関する自らの側近の捜査を中止するよう要求し、後にコミー氏を解任したという司法妨害だ。

 これまでに弾劾によってその座を追われた米国の大統領はいない。過去に2人の大統領が下院で弾劾されたが、上院で無罪放免となった。1868年のアンドリュー・ジョンソン(Andrew Johnson)元大統領と、1998年のビル・クリントン(Bill Clinton)元米大統領だ。リチャード・ニクソン(Richard Nixon)元大統領はウォーターゲート(Watergate)事件での弾劾を回避し、1974年に辞任した。

 米国の現職大統領を権力の座から追放する手段として滅多に用いられることのない弾劾は、以下の手続きで行われる。