【5月23日 AFP】国際パラリンピック委員会(IPC)は22日、ロシアのドーピング問題で「劇的な変化」が起きない限り、今年7月に開催される世界パラ陸上選手権(IPC Athletics World Championships 2017)と2018年の平昌冬季パラリンピックで、同国選手の出場が全面的に禁止される可能性があると警告した。

 IPCのフィリップ・クレーブン(Philip Craven)会長は、昨夏のリオデジャネイロ・パラリンピックに引き続き、今年の世界パラ陸上と来年の平昌パラリンピックでも、ロシア選手が全面的に除外されることが現実になる可能性が高いと述べた。

 世界反ドーピング機関(WADA)の独立調査官リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏による報告書で、ロシアが国家ぐるみでドーピングを行っていたことが発覚したことを受け、IPCは昨年8月に同国に対して資格停止処分を科した。リオデジャネイロ五輪ではロシアの陸上選手全員が出場を禁止された。

 IPCはロシア・パラリンピック委員会(RPC)が進めている改革プロセスの監視と支援を行う作業部会を立ち上げ、同委員会の「前進」を手助けしている一方で、クレーブン会長は英ロンドン(London)で報道陣に対し、「2018年の平昌大会まで291日となり、一刻も無駄にできない」と語った。

「IPCの作業部会の次回の情報更新は9月の理事会で行われる。それまでに完全に責務が果たされていなければ、(ロシアチームの)資格停止処分が解除され、冬季パラリンピックへのエントリーに間に合うことは非常に困難になるだろう」

 世界パラ陸上はロンドンのオリンピックスタジアム(Olympic Stadium)で7月14日から23日まで行われるが、IPCは大会エントリーの締め切りを来月9日に定めており、ロシアが復帰条件を満たしたと認められるまでの時間はほとんどない。

 国際陸上競技連盟(IAAF)がロシア選手に中立の立場で大会に出場する道を開いているのに対し、IPCの広報担当を務めるクレイグ・スペンス(Craig Spence)氏は、パラリンピックでは同様の措置は取らず、それぞれの国の代表選手のみエントリーを認めると話している。

 この発言についてRPCは冷ややかな反応を示しており、同委員会の理事を務めるミハイル・テレンティエフ(Mikhail Terentiev)氏は、クレーブン会長が16年の任期を終え、今年9月にアブダビ(Abu Dhabi)で行われる会長選で新しい会長が選出されることによって、この問題は解決すると確信している。

 同理事はロシア通信社のRスポーツ(R-Sport)に対して、「残念ながら、IPCの作業部会からわれわれに連絡はない。ロシアと国際パラリンピック・ムーブメントの問題について話し合う機会は、これまで何度か失われた。クレーブン会長は状況を行き詰らせており、新たにIPCの会長が選出されることによって初めて(ロシアにとって)前向きな決断が可能になる」と語った。(c)AFP/Julian GUYER