【5月22日 AFP】紛争や暴力、災害といった理由で昨年、自国内での避難を余儀なくされた人々の数が3100万人以上に上り、中でも中国とコンゴ民主共和国が最も深刻な影響を受けていたことが、スイス・ジュネーブ(Geneva)に本部を置く研究機関「国内避難民監視センター(IDMC)」が22日に発表した報告書で明らかとなった。

 非政府組織(NGO)「ノルウェー難民委員会(NRC)」が運営する同機関が発表した報告書によると、コンゴでは紛争によって国内避難民の数が急増し、シリアの82万4000人、イラクの65万9000人を超える92万2000人の避難民が新たに発生したという。

 また、突発的に発生する洪水や嵐、山火事や寒害などが主要因の災害による国内避難民は2400万人と、紛争による国内避難民の3倍以上の数となった。

 災害により新たに発生した国内避難民の数は中国が740万人で最大となり、次いでフィリピン(590万人)、インド(240万人)、インドネシア(120万人)と続いた。報告書によると気候変動による影響がさらに顕著になるにつれ、今後もこの数は増えていくと予想されるという。

 NRCのヤン・エーゲラン(Jan Egeland)事務局長は衝撃的なこの数字が、国外へと渡った難民以上に国内避難民に注目する必要があることを示すと指摘。「国内で避難を余儀なくされている人々の数は、今や(国外)避難民の2倍に増えた」と語り、「国内避難民を世界的な議論の俎上(そじょう)に載せることが早急に必要だ」と訴えた。(c)AFP