■ 「元気?」は存在証明

 トランプ氏の経営手腕は多くの人々がほめたたえ、トランプ氏も自画自賛するが、これまでホワイトハウスのきめ細やかな運営にはまったく反映されていない。

 中傷や大量解雇のうわさが連日のように耳に入り、スタッフたちは政権の無能ぶりと人手不足について裏で愚痴をこぼしている。側近らは、明日も仕事に来ることが許されるだろうか、としばしば自問するという。ただし、半分は悲痛な思いで、残り半分は解放されることを願って。

 最新の人事情報に関するうわさ話を小声で交わす日々の中で、「元気?」という他愛ないあいさつが今やスタッフの存在証明になっている、という冗談に聞こえない話もある。出口を探していると言う者もいれば、びくびくしながら「弁護士を立てる」ことに言及するスタッフもいる。

■屈辱に耐えるスパイサー報道官

 側近の中にはショーン・スパイサー(Sean Spicer)大統領報道官のように、公の場で個人的にも職務上でもこっぴどく叩かれている者もいる。風刺のネタにされ、報道陣にからかわれ、そればかりか自分の上司であるトランプ氏からもまるで儀式かのように決まってないがしろにされているスパイサー氏は、家族の見守る目の前で間もなく解任される可能性について同僚が会見するという屈辱まで味あわされた。

 スパイサー氏の後任に名前が挙がっている一人、元モデル・法律家で米ケーブルテレビ大手FOXニュース(Fox News)の司会を務めるキンバリー・ギルフォイル(Kimberly Guilfoyle)氏は先ごろ地元紙に、ホワイトハウスと既に話をしたと述べ、「私は大統領と非常に良好な関係だと思う」とまで語っている。

 そんなスパイサー氏は、さらにストレスの大きな任務に向かった。トランプ大統領初の外遊の一行に、長女のイヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)大統領補佐官や、その夫のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)大統領上級顧問、スティーブ・バノン(Steve Bannon)首席戦略官・上級顧問といった側近中の側近と共に同行している。

 一方、ホワイトハウスに残ったスタッフたちにとってはうれしいことに、今週は待ち望んだ一息つける1週間となるだろう。(c)AFP/Andrew BEATTY