【5月21日 AFP】陸上競技指導者のアルベルト・サラザール(Alberto Salazar)氏が、モハメド・ファラー(Mohammed Farah、英国)やその他のエリートランナーとともに薬物規定違反を犯しているとする報告書を米国反ドーピング機関(USADA)がまとめた。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が20日、報じた。

 サラザール氏は反ドーピング規則に違反はしていないとし、自身も米スポーツ用品大手のナイキ(Nike)が出資する世界のトップランナーが集うナイキ・オレゴン・プロジェクト(Nike Oregon Project)の選手たちも、規則を順守していると主張している。

 しかしながら同紙は、米国長距離界を世界レベルに引き上げようとするチーム内での不正の可能性や、強制、秘密主義といった文化について説明している。

 サラザール氏は選手たちへ薬物を供給する人物と評され、報告書によると、同氏は処方用量のビタミンDやカルシトニン(calcitonin)、アドベアー(Advair、ぜんそく薬)、テストステロン(testosterone)、そしてさまざまな甲状腺治療薬を提供したり、入手する援助をしたりしたという。これらの薬物の多くは、ランナーに利益をもたらすことが証明されてはいない。

 USADAは、英国放送協会(BBC)と非営利の調査報道機関「プロパブリカ(ProPublica)」がオレゴン・プロジェクトの不正についての番組を放映したことを受け、2015年から調査を開始していた。

 サラザール氏はUSADAの調査には協力しておらず、ニューヨーク・タイムズのインタビューの要請に応じていない。(c)AFP