■得られぬ理解、家族との別れ

 多宗派国家のレバノンではいまだ大多数の家庭が保守的で、両親にカミングアウトすることも難しい。

 マフムード(Mahmoud)さんは、自分が同性愛者であることを父親に告げたときのことを語った。父親は、マフムードさんの家では男は男だと言い、モスクにもっと頻繁に通うことをすすめたり、医師に診てもらうことを強要したりした。

 マフムードさんは家族の希望に沿おうと1年近く努力したものの、「地獄のような日々だった」と振り返った。最後には父親に、「そのままでいたいなら家を出ろ」と言われ、家を出る決心をしたのだという。

 若い女性の同性愛者、ギーダ(Ghida)さんは、信心深い母親に事実を告げたときのことを明かした。母親は、娘に地獄に落ちてほしくないと言って泣いたという。「母は心からそう信じているようで、心が張り裂けそうになった」とギーダさんは話した。

 レバノンのイスラム教、キリスト教の宗教当局も同性愛問題をめぐり、大きく揺れている。聖職者からの「最後通告」を受け、LGBTの権利推進に関するセミナーが中止されたこともあるという。

 だが、「ベイルート・プライド」の主催者は前向きだ。「ベイルート・プライド」の生みの親ハディ・ダミアン(Hadi Damien)氏は「当局はわれわれの取り組みに反対していない。これは大きい」と語っている。(c)AFP/Nora Schweitzer