【5月20日 AFP】2015年に米テキサス(Texas)州アービング(Irving)の学校で自作した時計を爆弾と勘違いされ、警察に拘束されたイスラム教徒の男子生徒の家族が、息子は人種と宗教を理由に差別されたと訴えた裁判で、同州の裁判所は18日、家族の訴えを却下した。

 当時14歳だった発明好きのアフメド・モハメド(Ahmed Mohamed)君は、学校に持ち込んだ手製の時計を教師に爆弾と勘違いされて警察を呼ばれ、身柄を拘束された。手錠を掛けられて立っている写真を姉がツイッター(Twitter)に投稿したことから、一夜にして話題の人物となり、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領(当時)にホワイトハウス(White House)へ招待されるなど多くの支援が集まった。

 後に取り下げられたものの、モハメド君は「偽の爆弾」を作ったとしていったんは訴追された。また学校側は、時計は安全だということが判明したにもかかわらず、モハメド君を3日間の停学処分にした。スーダン移民の両親は、こうした措置はモハメド君の人種と宗教を理由にした差別だと訴えていた。

 だが、テキサス州の裁判所は、「(アービング学区の)職員らが人種や宗教を理由にモハメド君を意図的に差別したことを合理的に推論させる事実を、原告側は提示しなかった」として、訴えを却下した。モハメド君一家の代理人を務める弁護士は控訴するとしている。

 この事件が起きた際、当時のオバマ大統領はツイッターを通して「かっこいい時計だね、アフメド。ホワイトハウスに持って来ないか? 君のような子どもたちに科学を好きになってもらいたいからね」と呼び掛け、モハメド君のホワイトハウス訪問が実現した。

 またシリコンバレー(Silicon Valley)のIT企業などもモハメド君を応援するメッセージを発信し、ツイッターからはインターンの誘いが、グーグル(Google)やフェイスブック(Facebook)からは会社訪問の誘いが届いた。だが、その後まもなくモハメド君一家はカタールへ引っ越すことを発表した。(c)AFP