【5月21日 AFP】ボクシング、WBA世界ミドル級王者決定戦12回戦が20日、東京の有明コロシアム(Ariake Coliseum)で行われ、2012年ロンドン五輪ミドル級金メダリストの村田諒太(Ryota Murata)は、アッサン・エンダム(Hassan N'Dam、フランス)に物議を醸す判定負けを喫し、王座獲得を逃した。

 村田は4回に暫定王者からダウンを奪い、その他にも何回か相手をぐらつかせ、試合内容で圧倒しているようにみえた。しかし、最後まで続いた村田の容赦ない攻勢を耐えたエンダムが、採点発表とともに膝をついて歓喜する中、集まった観客は言葉を失った。

 村田はショックを受けた様子で「効いたパンチは1回もなかった」と話したのに対し、エンダムは自分が勝利にふさわしいと言い切り、「自分が取ったラウンドの方が多いと思っていた。村田の右が危険なのはわかっていたから距離を取った。ダウンはしたが、プラン通りの戦い方を貫いた」とコメントした。

 自身初の世界戦に臨んだ村田だったが、序盤から積極的に試合に入ると、4回には強烈な右フックでエンダムをマットに沈めた。そしてそのまま相手を仕留めようと右を連打し、試合を早くも終わらせにかかった。

 村田の日本人2人目にして、22年ぶりとなるミドル級世界王座獲得が近づいているかに見えたなかで、エンダムも気持ちの強さを見せ、7回には足を二度もつれさせたがなんとか踏みとどまった。それでも、元WBO王者のパンチは相手のグローブをかすめるだけで、村田はまるで問題にしていない様子だった。

 ところが判定が発表されると、エンダムを打ちのめした村田は困惑。1人目のジャッジは116-111でエンダム。2人目は117-110で村田を支持したが、3人目のジャッジが115-112でエンダムだとわかると、会場には納得がいかない雰囲気が広がった。

 今回の敗戦で、ミドル級の統一王者、ゲンナディ・ゴロフキン(Gennady Golovkin、カザフスタン)に挑戦するという夢の実現が大きく遠のいた村田は、「勝つことができず申し訳ない」と語った。

「五輪のときは勝ったという感触があったが、今回は胸騒ぎがしていた。僕はダウンを奪ったが、向こうはジャブで点数を稼いだ。多分、もう何回かダウンを奪っておくべきだった」

 村田はプロ13戦目で初黒星を喫し、エンダムの戦績は36勝2敗となった。

 有明では同日、ほかにも世界タイトルマッチが2試合行われ、WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦では比嘉大吾(Daigo Higa)が、WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦では拳四朗(Ken Shiro)が、それぞれ王座を獲得した。(c)AFP