【5月20日 AFP】内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の創設者ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)氏(45)は19日、スウェーデンの検察当局が7年にわたって続けてきた同氏に対する性的暴行容疑での捜査を打ち切ったことは同氏にとって「重要な勝利」だと述べた。一方、自身の未来をめぐる「真の闘い」は始まったばかりだとも述べた。

 アサンジ氏は2012年以降身を寄せている英ロンドン(London)のエクアドル大使館のバルコニーに姿を見せ、日の光の下で捜査の打ち切りを祝ったが、道のりは「まだまだ続く」と語った。

 黒のシャツとジャケットを着たアサンジ氏は同大使館の小さなバルコニーで、詰め掛けた報道陣と少数の支援者らに対し「今日は重要な勝利の日だ」と語った。

「だからといって決して起訴もされずに7年間も捕らわれの身になっていたことを消し去ることはできない。太陽の光の当たらない勾留・軟禁生活、そしてこの大使館での約5年間」「私はこれを許せない。忘れることもできない」

 アサンジ氏はエクアドル大使館を出るかどうかについては語らなかったが、エクアドルのギジャウメ・ロング(Guillaume Long )外相は19日、声明を発表し、アサンジ氏をエクアドルで保護するため、英国政府に同氏の安全な通行を認めるよう外交的働きかけを強めていくと明らかにした。

 アサンジ氏の弁護士パー・サムエルソン(Per Samuelsson)氏は、アサンジ氏は「自身が安全に過ごせる唯一の国」であるエクアドルに行く計画だと述べた。

 一方でアサンジ氏から性的暴行を受けたと主張する女性の弁護士はAFPに送った電子メールの中で「今回の件は性的暴行容疑者が正義と法廷から逃れるという不祥事だ」と述べた。「私の依頼人はショックを受けている」

 英警察当局は、性的暴行をめぐるスウェーデン当局の捜査が打ち切られても、アサンジ氏がエクアドル大使館から外へ出れば、2012年の保釈条件違反で逮捕せざるを得ないと発表した。米当局はウィキリークスを「敵性情報機関」とみなしていると警告している。(c)AFP/Ilgin KARLIDAG, Robin MILLARD