■再教育を強要され、かえって政治への関心を高める若者たち

 反プーチン派を支持すればどんな目に遭うかを警告する講義を強制的に受けさせられたという学生たちの報告は全国から上がっている。

 ロシア南部サマラ(Samara)のボルガ(Volga)市では先月、3000人以上の学生が、「過激派にノー」と題された長時間の会議への出席を強要された。ある出席者がAFPに語ったところによると、この会議では、今年の3月のデモは武力を使った運動になるおそれがあったと言われたという。さらに講演者の一人は学生たちに「過激派と闘え」と呼び掛け、地元の首長で与党所属のニコライ・メルクシュキン(Nikolai Merkushkin)氏を支持するよう要求した。同氏は、汚職をめぐってナワリヌイ氏から糾弾されている人物だ。

 また、ロシア第2の都市サンクトペテルブルク(St. Petersburg)の地元記者によると、同市内にある工科大学でも学生たちが同様の会議に参加させられ、アンケート用紙への記入を求められたという。

 AFPが入手したアンケート用紙には、「喜んで警察の協力に応じますか。過激派についてはどう思っていますか。メディアが過激派を助長していると思いますか」などの質問が並んでいた。

 だが、若年層の再教育は時には逆効果を生むようだ。

 モスクワから東へ450キロほどのゼルジンスク(Dzerzhinsk)で歴史の教師を務めるアンドレイ・ルドイ(Andrei Rudoi)さん(26)は、自身の教え子の間でも政治参加が増えてきており、当局はそうした動きを懸命に抑え込もうとしていると語った。

「私が教えている学生たちの中にもそういう動きが見て取れますね。去年は、政治について語り始める学生が増えました。これまでになく討論もするようになり、会合に行ったり政治団体に参加したりしています。そうした風潮に当局は不安を抱いているんです」(c)AFP/Anaïs LLOBET