【5月16日 AFP】世界各地のコンピューターネットワークに被害を与えた大規模なサイバー攻撃について、情報セキュリティーの専門家らは15日、北朝鮮が関与した可能性を示す形跡があると相次いで報告した。

 米グーグル(Google)の研究者ニール・メータ(Neel Mehta)氏は攻撃元を突き止める最初の手掛かりとして、今回の攻撃に使われたマルウエア(悪意のあるソフトウエア)の「WannaCry」と、北朝鮮が関与したと広く考えられている大規模なハッキング工作との類似性を示すコードを公開した。

 コードの類似についてはほかの専門家も、断定まではできないものの、攻撃の背後に北朝鮮がいる可能性を示す痕跡との見解に同意している。

 ロシアのITセキュリティー大手カスペルスキー(Kaspersky Lab)の研究者らは、これは重要な手掛かりだと述べ、「まずWannaCryの旧バージョンをさらに研究する必要がある」と指摘した。

 カスペルスキーによると、コードの類似性から「ラザルス(Lazarus)」の名で知られるハッカー集団が関与したことがうかがえる。ラザルスは2014年の米映画製作大手ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(Sony Pictures Entertainment)に対するサイバー攻撃に関与したとみられているほか、昨年のバングラデシュ中央銀行への攻撃にも関わった疑いがある。

 同社の研究者らは「ラザルスの活動の規模は衝撃的だ」と述べている。

 このほかイスラエルのITセキュリティー企業インテザー(Intezer Labs)の幹部も、今回の攻撃に北朝鮮が関与したとの見方を示している。(c)AFP