■「おまえたちが嫌いだ!」

 1987年、モーリス・ピアラ(Maurice Pialat)監督は『悪魔の陽の下に(Under the Sun of Satan)』で、フランス人監督としては21年ぶりにパルムドールを受賞した。しかし授賞式では多くの人々がこの結果に納得せず、登壇したピアラ監督にやじを飛ばした。すると、監督はこぶしを振りながら聴衆の方を向いて叫んだ。「おまえたちが私のことを嫌いなら、私だっておまえたちが嫌いだ!」

■過激なレイプシーンに退出者250人

 2002年、ギャスパー・ノエ(Gaspar Noe)監督の『アレックス(Irreversible)』の上映会場から250人の観客が退出した。あまりに生々しいレイプシーンに耐えられなかったためだ。救急隊に酸素マスクを求めた人もいたという。その性的暴力の衝撃的なシーンは、正当化され得るものかどうか大論争を呼んだ。一方、劇場に残った人々は、5分間のスタンディングオベーションを送った。

■「私はナチスだ」

 カンヌ受賞歴のあるデンマークのラース・フォン・トリアー(Lars Von Trier)監督は一度ならず渦中の人となっているが、2011年には自身の作品『メランコリア(Melancholia)』の記者会見で、ナチス・ドイツ(Nazi)の独裁者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)への共感を示し物議を醸した。

 失言を取り返そうとしたトリアー監督はさらにこう続けた。「私は全くもってユダヤ人の味方だ。ああ、それほどではないかもしれない、イスラエルはうんざりだ。だが、それでも、ああ、どうやったらここから挽回できるんだ……そうだ、私はナチスだ」。トリアー監督は後で謝罪したが、カンヌは彼を「好ましくない人物」に指定し、以来一度も招待していない。

■ボラットの「マンキニ」

 カンヌ映画祭といえば、若い女優たちのビーチでのビキニ姿が欠かせない。しかし、英コメディアン俳優サシャ・バロン・コーエン(Sacha Baron Cohen)が主演作『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(Borat)』の宣伝のために、劇中で着ていた緑色の「マンキニ」姿で登場したときは大きな話題に。その水着が覆っていたのは本当に限られた部分で、ビーチで日光浴を楽しんでいた一般の人々は目のやり場に困った。

(c)AFP/Bénédicte REY /Fiachra GIBBONS