【5月12日 AFP】嵐のように訪れる極端な気分の上下と強い抑うつをコントロールしようと、作家のアイェレット・ウォルドマン(Ayelet Waldman)さん(52)は処方薬をあれこれ試したがうまくいかなかった。だが、ついに青い薬ビンに入った希釈したLSDに救いを見出した。

 米サンフランシスコ(San Francisco)のベイエリア(Bay Area)に住む元連邦公選弁護人のウォルドマンさんは「失うものは何もない」という気分で、幻覚剤LSDの少量2滴を舌下にたらした。間もなく憂うつな気分が消えていくのを感じた。

「率直に言って、自殺願望が起き始めたのです。もう1つの選択肢が死ぬことだとしたら、あるいは少なくとも死にたいと感じるぐらい惨めならば、何か別の新しいものを試してみてもいいでしょう」とウォルドマンさんはAFPに語った。

 ウォルドマンさんは流行の「マイクロドージング」で気分が一新されたと話した。マイクロドージングとは、LSDやサイロシビン含有マッシュルームといった幻覚剤を、ほぼ感知できないほど微量だけ摂取することだが、違法かつ潜在的な危険がある。

■仕事の能率向上や抑うつ対処で人気に

 マイクロドージングの目的は幻覚を起こすことではなく、仕事の能率と創造性を高めること、あるいはウォルドマンさんのように気分障害を含めたさまざまな病気に対処することだ。「1日目から気分は良くなりました」とウォルドマンさん。「うつが消えていって…驚きです」

 彼女は希釈しなかった場合の約10分の1の量、1日当たりおよそ10マイクログラムのLSD摂取で人間関係が改善し、仕事の能力も向上したと言う。

 マイクロドージングの使用は近年、薬物愛好家らではない人々、特にキャリア向上を目指すカリフォルニアのシリコンバレー(Silicon Valley)の若き専門職たちの間で勢いを増している。

 人気の火付け役となったのは、影響力のあるいくつかの米国のポッドキャストだ。またより最近では、ウォルドマンさんの近著「A Really Good Day: How Microdosing Made a Mega Difference in My Mood, My Marriage, and My Life(真に良き一日:私の気分、結婚、人生を大きく変えたマイクロドージング)」も一役買った。同書にはそううつの激しい振幅から抜け出すために幻覚剤がいかに役立ったかが詳述されている。