■殺害されるジャーナリストたち

 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(Reporters Without Borders)」は、メキシコを世界で3番目に死亡リスクの高い国と位置付けている。その危険性は、シリアとアフガニスタンに次ぐものとされ、事実メキシコでは2000年以降、102人のジャーナリストが殺害されている。うち20人はベラクルスで殺されたという。

 人権擁護団体「Article 19」によると、過去10年間にジャーナリストらが受けた脅迫のうち、確認されているものについては半数以上が当局者から送りつけられたものだという。また同団体は、ジャーナリスト殺害事件の99.75%が未解決であるとしている。

 サバレタさんは自身の活動を後押ししたあるジャーナリストのことを語ってくれた。Zeta誌のディレクターとしてティフアナ(Tijuana)州での麻薬取引を調べていたヘスース・ブランコルネラスさんだ。

 ブランコルネラスさんは1997年、反社会勢力によるものとみられる襲撃で負傷した。その後、2006年にがんで亡くなるまで、軍の警護の下で家と職場とを往復した。

 サバレタさんは、かつてブランコルネラスさんが的に向けて言っていた言葉をよく覚えているという。「私は自分がやめたいときにやめる。君がそうしてほしいときではなくて」 (c)AFP/Jean Luis ARCE