【5月11日 AFP】ポルトガルのカトリック教徒、カルロス・ジル(Carlos Gil)さん(52)は、知る人ぞ知る「巡礼代行人」だ。

 ジルさんは同国中部にある聖地ファティマ(Fatima)まで、他人の名の下に巡礼する。病気や多忙といった理由、あるいは単に自分で行くのが面倒くさいという人に代わって、聖なる歩みを請け負うのだ。代行料金は2500ユーロ(約30万円)。

 ファティマではちょうど1世紀前の1917年、3人の幼い羊飼いが聖母マリアの姿を目にしたとされる。13日には聖母出現から100年を記念して、ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王が同地を訪れ、聖母の目撃者とされる2人を列聖することになっている。記念祭には、ジルさんを含め100万人近いカトリック教徒が集結するとみられている。

 ただ実際に歩いて巡礼し、しかもその料金を請求する巡礼者はほぼ間違いなくジルさんだけだろう。

 ジルさんは巡礼の旅に出る前、自宅でAFPの取材に応じ、「お金を稼ぐためではなく、他者への奉仕」であり、「われわれと神との契約だ」と語った。