■3割の外国人が日本で差別を経験

 難民に対する政府の方針をめぐっては、人口が減少するなか、需要が高まりつつある難民の受け入れを無視していると批判する声もある。

「日本は島国で長らく外国人に門戸を閉ざしてきたが、(少子高齢化が進んだ近年までは)人口が多くそれで困らなかった」と、法務省出身で移民の受け入れを提唱している坂中英徳(Hidenori Sakanaka)移民政策研究所長は言う。

 日本の現在の人口は1億2700万人だが、2060年までに8700万人に落ち込むとの予測もある。

 坂中氏は、日本の難民受け入れが成功するためには「まず移民国家宣言をして、(人道的な見地からの難民受け入れも含め)移民をもっと受け入れるべき」と話し、移民が増えればより多文化社会となり、難民受け入れも成功しやすいと主張する。

 法務省は今年3月、国内に住む外国人を対象にした差別に関する初の実態調査の結果を発表した。それによると、回答者4252人の30%が差別的な言葉を投げかけられたことがあると答えている。また就職を断られたのは自分が日本人ではないことが理由だと思うと回答したのは2788人中の25%に上った。

 リリアンさんは、自らの肌の色が周りと違うことに触れながら、日本で生活する上での難しさを語った。電車に乗っていると席を立ち離れていく人もいる。また得意な英語を生かそうと語学を教える仕事を探していた際には、「アフリカ人」と分かった途端に断られたこともあるという。しかしその一方で、欧州の庇護希望者らが不安視するような危険な目には遭ったことはないと明らかにした。

 ミャンマーを離れ、日本で暮らすノンノンさんは、現在、ネイルサロンで働いている。以前の職場では、同じ仕事をしても、日本人の従業員より少ない賃金だったこともあるという。このような状況について彼女は、日本以外の国に逃れていったその他親族が暮らす環境とはまるで違うと話す。

「米国やオーストラリアの親戚は向こうで難民申請を受け、国籍も取得した。ちゃんと仕事をして、家も買える。行きたい国にだって行ける。(彼らは)人間らしく生きられる。(私も)人間らしく普通に生きたい」 (c)AFP/Kyoko HASEGAWA/Natsuko FUKUE​