■「あらゆる可能性」

 ホークス氏は、「人類とその近縁種、そしてホモ・ナレディなどの人類の遠縁の種が150万~200万年の間、人類進化史全体の大半にわたって、アフリカ南部のこの場所で暮らしていた。人類の進化は、その時代にわたって互いに共存していた多様なヒト属系統の中で起きた」と記者団に語った。

 そして「このことは、現生人類が他のヒト科動物種との共存下で発生したことを意味している。現生人類の起源の重要な時期と考えられてきた時代に、アフリカのこれらの環境では、多様なヒト科動物種が存在したことをだ」と続けて説明した。

 今回のプロジェクトに参加した豪ジェームズクック大学(James Cook University)のポール・ダークス(Paul Dirks)教授は、人類の進化史が単純で順次的な歴史よりもはるかに複雑であることを、最新の研究結果は示していると述べる。

 ダークス教授は、「人類の系統樹には多くの異なる分岐があり、地上に唯一の現存種しかいなくなったのは、ほんのつい最近のこと。今回の化石の最新の年代測定結果は、ホモ・ナレディとホモ・サピエンスとの間に起きたであろう多岐にわたる行動について可能性を開くものだ」と指摘した。

 前出のバーガー氏も、「この結果は、考古学に計り知れない影響を及ぼすに違いない。(これは)人類の進化で起きたことに現在欠落している極めて重要な部分だ」と話し、今回の発見を「われわれにとってのロゼッタ・ストーン(Rosetta Stone)」と表現した。

 最近に発見された化石についても年代測定作業がすでに始まっているという。(c)AFP/Philippe ALFROY