【5月9日 AFP】イラン人の学生レザ・パラステシュ(Reza Parastesh)さん(25)は、スポーツ界のヒーロー、リオネル・メッシ(Lionel Messi)選手にそっくりだ。先週は、その容姿が原因となり、公共の秩序を乱したとして刑務所に収容されかけた。

 イラン西部の都市ハマダン(Hamedan)で先週末、パラステシュさんとの自撮り写真を希望する人々が大勢が集まり、一時混乱となった。事態の沈静化と交通渋滞の解消を図るため、警察は急いでパラステシュさんを警察署に連行し、乗っていた車も押収した。

 この騒動のきっかけとなったのは数か月前に、熱狂的なサッカーファンである父親が、パラステシュさんにスペイン1部リーグFCバルセロナ(FC Barcelona)の背番号10番のユニホーム姿でポーズをとらせ、撮影した写真をスポーツサイトに送ったことだった。

 父親はAFPの取材に対し、「ある晩、サイトに画像を送ったら、翌朝にはもう電話がかかってきて、インタビューしたいから急いできてほしいと言われた」と語った。

 最初は渋々応じていたパラステシュさんも、すぐにその気になり、メッシのような髪形にしたり、外出時にバルセロナのユニホームを着たりするようになった。

 するとメディアからインタビューの依頼が殺到するようになり、数件のモデル契約も舞い込んできた。

 パラステシュさんは、「今ではイランのメッシとして見られるようになり、彼の物まねをせがまれるようになった。行く先々で、人々にとても驚かれる」とAFPに語った。

 そんな、彼にとって忘れられない出来事があるという。2014年サッカーワールドカップ(World Cup)イラン対アルゼンチンの一戦だ。この試合では、メッシが後半アディショナルタイムで決めたゴールが決勝点となりイランの敗退が決定。上位16チームに残ることができなかったのだという。

 当時、パラステシュさんの父親はこの得点に激怒した。「試合後、父親は僕に電話をかけてきて、『今夜は家に帰ってくるな。なぜイランから得点を奪ったりするんだ?』と言った。僕のせいじゃないのに!」と笑顔で語った。

 パラステシュさんの今の目標は、バルセロナ(Barcelona)で自身のヒーローに会うことと、運よく彼の代役としての仕事を見つけることだ。

「サッカー史に残る最高のプレーヤーである彼は、仕事が多すぎて一人では手に負えないはず。忙しすぎる時には、僕が代わりを務めることもできる」と話した。(c)AFP/Ali Noorani