【5月8日 AFP】かたちにとらわれない私生活と政治家としての経験の浅さで知られるエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)氏(39)は、従来の習慣と闘い、そして伝統を打ち破って、このほどフランスの新大統領に選出された──。

 フランス史上最年少で大統領に就任するマクロン氏は、仏北東部の都市アミアン(Amiens)出身。2人の医師を両親に持つ。国内屈指の名門大学でエリート教育を受けたことを除けば、フランスの伝統的なリーダー像には当てはまらない。

 マクロン氏の妻、ブリジット・トロニュー(Brigitte Trogneux)さん(64)は、リセ(日本の高校に相当)時代の元恩師。2人が出会った当時、既に3人の子どもを持つ既婚者だったが、彼女にマクロン氏は恋愛感情を抱いた。

 こうした2人の関係は、マクロン氏がメディア通であることも手伝い、仏高級雑誌の魅力的なトピックであり続けている。

 他にも、3年前にはほぼ無名だったことや、既存政党に所属していないことなど、近代史において大統領に選出された人物としては最も「らしくない」経歴の持ち主の一人だ。

 哲学や文学、クラシック音楽を愛するマクロン氏が、「左派でも右派でもない」とする政治運動「前進(En Marche)」を立ち上げたのは、わずか12か月前。

 フランスでは一般的でないこの立ち位置は当初、経済政策を右派から、社会制度を左派から取り入れて組み合わせただけと皮肉られた。

 また、野心的な元投資銀行家で、その後社会党のフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領政権で経済相を務めたマクロン氏だが、その年齢と経験の浅さから、大統領の重責には耐えられないだろうとの声も上がっていた。

 39歳のマクロン氏は、ナポレオン・ボナパルト(Napoleon Bonaparte)が1804年に政権の座についた当時の年齢よりも1歳若い。今回の大統領選でマクロン氏の勝利を確信していた人は、同氏の顧問グループを除いてはごくわずかだった。