【5月8日 AFP】フランス大統領選の決選投票で、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)氏(39)の勝利が確実となった時点で、極右政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏(48)は敗北を宣言したが、一方で「歴史的な」得票率はFNが「最大の野党勢力」であることを示すものだと強調し、今後の政治の闘いに意欲を示した。

 敗北を認めたルペン氏は早速、FNを「徹底的に変革させる」と表明し、引き続き6月の総選挙でも「愛国者対グローバリストの闘い」に挑む姿勢を示した。

 反欧州連合(EU)、反移民を掲げ、「国民の候補」を自認するルペン氏は、決選投票で33.9%~35%の票を獲得したとみられる。この数字は2002年の仏大統領選で、ルペン氏の父親でFNの創設者であるジャンマリ・ルペン(Jean-Marie Le Pen)氏が獲得した得票率の2倍に上る。

 ルペン氏は2011年にFN党首に就任すると、「愛国者の党」としてのイメージ一新に取り組み、順調に党の汚名挽回を進めてきた。さらに、反移民や反イスラム原理主義といったFNの従来の主張は固辞しながらも、あからさまな反ユダヤ主義や人種差別的な言動を排除し、マイナス印象の払しょくに努めた。

 大統領選の期間中は悪評が付きまとう名字を使うことを避け、FNのロゴを燃え上がる炎から青いバラに変更し、スローガンに「フランス第一」を掲げた。これらが奏功し、ルペン氏の獲得票数は第1回投票の760万票から決選投票では1000万票以上に増えた。

 米国で自国第一主義を掲げるドナルド・トランプ(Donald Trump)政権が誕生し、英国の国民投票でもEU離脱派が勝利するなどルペン氏には追い風が吹いていた。だが、最終的にルペン氏の得票率は予想に届かなかった。大差をつけてのマクロン氏の勝利は、フランス国民の間にいまだルペン氏の政策に対する根強い拒否反応があることを示している。特にユーロ圏からの離脱という主張は多くの有権者に危惧された。

 今回の大統領選の結果を受け、FN党内からルペン氏を批判する声は上がっているが、現時点で敗北の責任が問われる可能性はないとみられる。

 今後もルペン家がFNを仕切っていくのか。少なくとも現時点で、ルペン氏のめいのマリオン・マレシャルルペン(Marion Marechal-Le Pen)氏(27)は、2022年の大統領選に立候補する「気持ちは全くない」と述べている。(c)AFP/Gina DOGGETT, Clare BYRNE