【5月8日 AFP】イタリア・セリエAのユベントス(Juventus)に所属するモロッコ代表のDFメディ・ベナティア(Mehdi Benatia)が7日、イタリア放送協会(RAI)の試合後のインタビュー中に人種差別を受けた様子が生放送された。イタリアでは前週にも人種差別が大きく取りざたされたばかりだった。

 1-1に終わったトリノ(Torino FC)とのダービー後にRAIの取材に応じたベナティアだったが、スタジオにいたスタッフの失言によりインタビューは中断された。

 ユベントスのセリエA6連覇に関する出演者の質問に答えていたベナティアは、イヤホンから「お前は何を言っているんだ、くそモロッコ人め」という声を聞くと、話を中断して「誰の発言だ? どこのばかがしゃべっているんだ?」と問い返した。

 同じくこの発言が聞こえていたものの、出演者はベナティアに対して「技術的な問題があったようです。侮辱ではありません」と伝えて火消しを図った。

 憤慨した様子のベナティアがひたいを拭うと、出演者は礼を言ってインタビューは突如として終了した。

 スタジオの技術スタッフがマイクを入れたままにする不注意が原因だったと考えられているが、イタリアでは先週ガーナ人のサリー・ムンタリ(Sulley Muntari)をめぐって騒動が起きており、背景には根深い人種差別意識があることが明確になった。

 デルフィーノ・ペスカーラ1936(Delfino Pescara 1936)に所属するムンタリは、先週行われたカリアリ(Cagliari Calcio)戦で人種差別の標的となり、これに抗議して試合中に自らピッチを去ったことで警告を受けたことについて「犯罪者のような扱いを受けた」と感じたと話している。

 RAIは声明でベナティアに対する謝罪を表明している。

「番組内でユベントスのメディ・ベナティア選手に対する嘆かわしい人種差別があったことを心から謝罪します」と発表したRAIは、さらに「許されない言葉を発した人物を特定するための必要な調査」をすると明かしている。(c)AFP