【5月6日 AFP】紛争から逃れるため国境を越える人の数が記録的な高水準にあるなか、国連(UN)の世界食糧計画(WFP)は5日、世界的な食糧危機がさらに多くの移民を生んでいるとの報告書を発表した。

 報告書によれば、「食糧不足に見舞われた人が1%増加するごとに、移住を余儀なくされる人が1.9%増える」という。また紛争が1年長引くごとに移住する人が0.4%増えるとした。

 食糧やその他の人道的支援へのアクセスがまったく、あるいはほとんどない状態になった人たちは移動し続けることを余儀なくされる。その旅の困難さから、移住という行為自体が食糧不足の原因になることも多い。

 WFPの研究は、武力紛争が国境を越える移住の大きな原因となっており、その他に自然災害や経済的要因が移住のきっかけになることもあると明らかにした。

 また避難民は遠くへ行きたがらず、元いた場所の近くにとどまろうとする傾向があることも今回の研究で示された。WFPが聞き取り調査をしたシリア難民家族のうち、シリアを出るまでに少なくとも1度国内避難民になったことがある世帯は80%近く、2度以上は65%に上った。

 この報告書は、国内避難民や外国への移民のさらなる増加を防ぐため、可能な限りそれらの人々が本来暮らしていた場所の近くで食糧供給と暮らしへの投資を行うことを国際社会に推奨した。(c)AFP