【5月6日 AFP】ジロ・デ・イタリア(Giro d'Italia 2017)は5日、第1ステージ(サルデーニャ島アルゲーロ~オルビア、206キロメートル)が行われ、ボーラ・ハンスグローエ(Bora-Hansgrohe)のルーカス・ペストルベルガー(Lukas Postlberger、オーストリア)がステージ優勝を飾った。

 3週間にわたり繰り広げられるイタリアの歴史的レースで、ペストルベルガーは初出場ながら大物スプリンターを抑えて開幕ステージを制し、「大工見習の経験があるんだ。新しいキッチンを設置するなら手伝えるけど、今は無理だ。あまり時間がないからね」と冗談交じりにコメントした。

 ツアー・オブ・オーストリア(Tour of Austria)でのステージ優勝が自身最高成績だったペストルベルガーは、「これまでは、グランツールで単独勝利を挙げることが夢だった。これからは、別の夢をみつけなければ」と喜んだ。

 総合優勝者にはピンクジャージー(マリア・ローザ)が贈られる100回目の記念大会で、チームから3週間前に出場を告げられたというペストルベルガーは、初めて臨んだグランツール(三大ツール)でいきなりレースを楽しんだ。

 2016年大会覇者でバーレーン・メリダ(Bahrain-Merida)のヴィンセンツォ・ニバリ(Vincenzo Nibali、イタリア)、2014年大会王者でモビスター・チーム(Movistar Team)のナイロ・キンタナ(Nairo Quintana、コロンビア)の一騎打ちと予想された今大会の第1ステージでは、島北部の曲がりくねった海岸でトップスプリンター5人が抜け出し、そのまま逃げ集団を形成するかと思われた。

 しかし、残り数キロメートル地点の鋭い右カーブで混戦となると、そこから一気にスパートした25歳のペストルベルガーが、後方集団の猛追を抑えてフィニッシュラインを通過し、ピンクジャージ―を手にした。

 今ステージでは、オリカ・スコット(Orica-Scott)のカレブ・ユアン(Caleb Ewan、オーストラリア)が2位、ロット・ソウダル(Lotto Soudal)のアンドレ・グライペル(Andre Greipel、ドイツ)が3位で続いた。有力選手でも最速を誇る両ライダーは、大会の顔として数日間を過ごす絶好のチャンスをふいにしてしまった。

 ペストルベルガーは「スプリンター全員が勝利を目指しているけれど、正直なところ気の毒には思っていない」とコメント。ペーター・サガン(Peter Sagan、スロバキア)がUCIロード世界選手権大会(2016 UCI Road World Championships)で優勝するなど、チーム全体に自信がみなぎっている。

 昨季のツール・ド・フランス(2016 Tour de France)で5大会連続のマイヨヴェール(グリーンジャージー)を獲得しているサガンもまた、有力選手のなかで最も象徴的な存在であり、人気の高いライダーの一人として知られている。

 学生時代にはマウンテンバイクに挑戦しながら、自転車ロードレースに転向したペストルベルガーは、「ペーターから、プロの自転車レースについて多くのことを教わっている」とすると、「その一方で、ただの自転車レースだということも学んだ。結果が悪くても死ぬわけではない。楽しみながらポジティブな側面を見るべきだ。それが彼から教わったことだ。人としてもナイスガイで、彼から刺激を受けている。ポジティブでいること。それが彼からの主なメッセージだ」と明かした。

 体力を維持するために冬の数か月間は山でスキーハイクをするというペストルベルガーは、今大会のメンバーに選出される確信はなかったとして、「チャンスは50-50だった。だけど、ジロで選ばれるようにトレーニングを積んできた」と語った。

 第1ステージで勝利を飾り、この快挙達成を実感するためにはグラスワインを数杯飲む必要があると述べたペストルベルガーは、オルビア(Olbia)からトルトリ(Tortoli)まで221キロメートルのコースで繰り広げられる6日の第2ステージに向けて集中しており、「この勝利を実感するには、ワインを数杯飲む必要がある。だけど、この結果には自信がある。何事にも、すべて理由があるものだ」と意気込んだ。(c)AFP/Justin DAVIS