【5月6日 AFP】ロシア・北カフカス(North Caucasus)地方のチェチェン(Chechnya)共和国で男性同性愛者が迫害を受けていると報じられた問題で、同国のウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は5日、疑惑の正式な調査を後押しすると表明した。プーチン氏は今週の独ロ首脳会談で、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相からこの疑惑への対応を要請されていた。

 会談後初めて同問題に言及したプーチン氏は、検事総長と内相と対し、同国のタチアナ・モスカルコワ(Tatyana Moskalkova)人権オンブズマン(行政観察員)が担当する調査の補助を個人的に依頼する意向を表明。モスカルコワ氏に対し、「同僚らが対応し、あなたを補助することを願う」と述べた。モスカルコワ氏は国内の人権侵害の調査を担っているが、プーチン氏に忠実な既存勢力の一部と広く見られている。

 メルケル首相は2日にプーチン氏と開いた共同記者会見で、チェチェンの同性愛者をめぐる「非常に悪い報道」に言及し、プーチン氏に「彼の影響力を用いて、少数派の人権を保障する」よう要請したと述べていた。

 プーチン大統領は、テレビ放映されたモスカルコワ氏との会話で、同疑惑について、北カフカスで「非伝統的な指向を持つ人々」(同性愛者を指すえん曲表現)に起きていることについての「うわさ」と表現した。

 当局に対する批判的な姿勢で知られるロシアの独立系紙ノーバヤ・ガゼータ(Novaya Gazeta)は3月、同性愛がタブー視されるチェチェンの当局が男性同性愛者たちを拘束して拷問を加えていると報道。

 同紙によると、チェチェン当局は計100人以上の男性同性愛者を拘束した他、親族に対して同性愛者の殺害を呼び掛けており、これまでに少なくとも2人が親族に殺害され、1人が拷問により死亡。この報道は国際的スキャンダルを引き起こした。(c)AFP